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「しゃ…ちょ…遠山さんがいるのに…」  私の言葉などお構い無しに、社長の舌先が、私の血を舐めとっていく。社長が舐めた部分の傷がみるみる内に癒えてゆく。 「…アッ…社長」  社長は、私の頬に軽く口づける。 「顔にこんな傷、付けやがって…」  チュッ、チュッと音をたてながら、社長は私の頬に口づける。引っ掛かれた傷の痛みが引き、触れてみると傷が消えていた。私は魔法にかけられたような気持ちになる。 「ゆりあ…すまない」  社長の腕に強くギュッと抱きすくめられる。 「社長?」  社長の体が震えていた。 「気付いてやれなかった…お前の苦しみに」  
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