22人が本棚に入れています
本棚に追加
「私は全然、平気ですから、本当に気にしないでください!」
責任を感じている社長に、私は明るく告げにっこり笑う。
社長は柔らかな笑みを口許に浮かべた。
「お前は嘘が下手だな…」
「嘘なんかじゃありませんよ」
「じゃあ、なんで泣いてるんだよ…」
「え?」
社長に指摘されて初めて、私は自分が泣いている事に気付く。
「一人傷つかせて、耐えさせて、すまなかった」
社長の優しい声に抑えていた悲しみと緊張の糸が切れて、私はワッと泣き出す。
社長は私が泣き止むまでずっと私の頭を撫でてくれた。本当の恋人のように。
何も言わず、ただ、真綿にくるむような優しさで、あやすように私の髪を撫で続けた。
最初のコメントを投稿しよう!