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午前9時。社員達の出勤時刻に堂々と女の肩を抱き、長い脚を颯爽と進ませ社ビルの表口から現れた男に、その場が一瞬にしてどよめく。
「冴島社長だ!」
「姿を拝めるなんて、朝からツいてる」
「…何言ってんだよ。あの騒動の後だぞ」
「やっぱりあの女と付き合ってるの?」
「イヤアアア!私の黎士様が!」
「社長こっち見てッ!!」
ただ驚愕する者。興奮し、黄色い声を上げはしゃぐ者。眉をしかめる者。目配せしあい、ヒソヒソと噂話をする者。
社員達の視線を一身に浴びながら、冴島社長はエントランスの真ん中で足をとめると、低い声で告げた。
「社員は全員、社内三階大ホールに集まるように」
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