《第3部・第1章》

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その夜…昼間のマクドでの一件で夕食後お母さんの言葉『美和が嫌なら転校も考えなきゃね』に心が揺らいだ。 転校…何処へ?中3の志望時、第1志望のこの学校しか思い浮かばなかった。 『考えさせて』 私はそう言って部屋にあがって携帯のアドレスをジッと見ていた。 松本さんを待つ間インテリア・収納の雑誌をずっと見て、お小遣いがないから諦め棚に返そうとした本を松本さんは買ってくれた。 『女子高生らしくティーンズ雑誌を見ずに変わった子ねぇ』と言いながら。 その雑誌を見ながら不意に昼間の会話が思い出された…【逃げるの?】 ううん、私は首を横にふった。 次の日はうどんの会、かつおぶしを大量に買い溜めしたと嬉しそうな菊地さん。本当にうどん職人になりたかったんだね。 今日は、釜あげうどんで優しい味がした。 私はマンションの人達が好き…この人達とのふれあいの時間が持てる限り逃げないと私は決めた…ーーー。 帰り際、松本さんが手招きし来週半ばには休みが取れるからファミレスに誘われた。 『今から撮影の仕事があるから』 と車に乗りクラクションを鳴らし仕事へと向かって行く様子を見ながらある言葉を思い出していた。 【働くって事甘く観るんじゃないわよ】 日曜なのに仕事なんだ。 車を見送りながら両手を握りしめた。
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