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 彼は大学生で、 学園祭でも出店したことがあると、 ウデには自信があったようだ。  確かに、 キャベツの刻み方やヘラの使い方など、 素人とは思えないところがあった。  だから、なおのこと、 ソースと醤油を間違えたらしいことだけが 悔やまれた。  それでも二人は、 このささやかなプレゼントを 有難く頂戴したのだった。   冬になると、いくら水泳好きの二人でも、 泳ぎには行かなかった。  哲は時折 水の妖精を遊園地に誘ったりもしたが、 元々海が好きだった二人は、 そういった施設よりも、 自然の中で過ごすのが好きだった。  公園の芝生で 風の囁きを聞きながら寝そべったり、 お弁当を持って近くの裏山に出かけたり。
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