15/17
前へ
/39ページ
次へ
 さすがにお尻のラインは 一回り大きくなってはいたが、 元々肌がきめ細かであったため、 その瑞々しさは三年前と なんら変わることがなかった。  一人で置いておくと、 たちまち男どもが寄ってくるのを見て、 片手くらいサバをよんでも 充分通用すると哲は確信した。 「そういえば……」  ラジオを聴きながら 夏の記憶を辿る哲に、 その時は何も感じなかったある出来事が、 不意に大きな謎となって思い起こされた。  例年通りの賑わいをみせる三浦海岸で、 タバコを吸いながら、 哲は誰に語りかけるともなくしみじみ呟いた。 「この辺の海も、昔はもっと きれいだったんだけどな……」
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加