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「いってらっしゃい」  哲は車のエンジンをかけた。  光子の腕には 自分の同じころにそっくりな我が子が 抱えられている。  窓を開け、 今の自分を支えている二人に手を振ると、 アクセルを踏み込んだ。 「行ってくるよ」  車は裏路地から一般道路へと出た。  数少ない幹線道路は、 朝のラッシュを迎えていた。  月曜日は特にその渋滞が激しい。  哲はタバコに火を点け、 ラジオのスイッチを入れた。  パーソナリティーとゲストが、 赤ちゃんの教育問題に関する話しを 熱心に交わしている。
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