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 スピーカーから、 一昔前に流行った音楽が流れてきた。  哲の胸に、懐かしい、 甘酸っぱい感覚が広がっていった。  哲はボリュームを上げながら、 その当時のことを思い出していた。  光子と出会ったころ。 高校生だった二人は、 水泳部に入部したことで知り合った。  二人の通っていた高校の水泳部は、 あまり強くなかったが、 みな一生懸命だった。  夏とはいえ、 朝の練習時にはまだ気温も水温も 充分上がってはいなかったが、 部員たちは 始業時間いっぱいまで泳ぎ続けた。
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