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もし、今プールに飛び込んでいたら、
感電する者もいたのではないか。
そう思えるほどだった。
哲は、その
名前も知らない女の子の姿を
目で追っていた。
胸が高鳴るのを覚えた。
右足が痺れているのは、
決して脹脛が攣ったからではないと、
確信をもって言えた。
―水の妖精―
それが、この日から、
哲が光子を思うときの
彼女の呼び名となった。
光子は、まるで
赤子に接するときのように、
そっと手を触れても
壊れてしまいそうなくらい繊細だった。
それはまだ花開く前の蕾のようであり、
縁日に並ぶガラス細工のようでもあった。
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