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 哲はすぐに恋に堕ちた。  一日二十四時間、 光子のことを考えていない時間はなかった。  と同時に、 知り合うきっかけをつくってくれた水泳を、 ますます好きになっていった。  夏のデートは、いつも自転車で 三浦海岸に繰り出した。  焼けた砂浜にビニールシートを敷き、 かき氷を食べながら、 陽射しが傾くまで潮風を感じて過ごした。  あるとき、 顔馴染になった海の家の アルバイトの青年が、 焼きそばを御馳走してくれたことがある。  彼曰く、三浦海岸中の海の家公認の 似合いのカップルへのプレゼントだという。
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