第2話 サンタクロースは温泉がお好き(2)

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週末、なぜだか私はまたも実家に来ていた。 「なぜだか」という言い方は、ちょっとおかしいかもしれない。 「なぜ?」というよりも、自らの意志で来たと言った方がいいだろうか。 猿渡君とデートの約束をしたものの、どうしても気乗りがしないままの日々を過ごしていた。 そんな時、ミカから、今週末も三神の里に泊まりたいという連絡が入った。 母親に予約の取次ぎをすると、「今週もお客さんが多いから手伝いに来てくれないか?」と頼まれてしまった。 私はどこかで、断る明確な理由を探していたのかもしれない。 普段そんなことを頼まれても、すぐに断るのに、「じゃぁ、私も帰るね」と返事している自分がいた。
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