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同じ車に乗り込んで約一時間、彼が口を開いたのは、「はじめまして」の一言だけ。
アルベルトとミカが具体的にどんな関係なのか、深堀してみたい思いは山々だったが、さすがの未華子もそこには触れてはいけないと思ったのだろうか。
というより、触れてはならないと確信したのだと思う。
さっき、ミカが急ブレーキをかけた時、アルベルトが叫んだのだ「キャー怖い!」と。
その叫び方があまりに女性的だったのだ。
それを目撃してしまってから、未華子は当たり障りないような会話をするようになった。
今日の天気とか、ミカが行ったことのある温泉の話とか、取材の際に生じたエピソードとか。
そんな話をしているうちに車は、一旦道の駅に停車した。
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