第4話 皐月に香るは恋のストーム(2)

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 フリーペーパーを見ていたら、素直に未華子の行動力が羨ましく思えた。 だって、私の場合は、ミカから連絡が来ない限り会う段取りはつかないし。 会うと言っても、それは旅館のお客と仲居の関係に限られたことだし……でも、未華子は、こうして自分の力でどんどんミカとの接点を広げている。 どう考えても勝ち目はないように思った。  やっぱ、諦めよっと……。  そんな言葉が頭の中を過ぎり、大きなため息が口から漏れた。 そして、手にしていた冊子をラックの中に戻そうとした時、 「持って帰ってくれないのですか?」 冊子を引き戻す手が横から突然現れた。
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