第4話 皐月に香るは恋のストーム(2)

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 何が悲しくて、こんな所で待ち合わせしているんだろう。 ミカが未華子に買うプレゼントに付き合わされることになるなんて…。 断りきれなかった自分が悪いとはいえ……。 でも、ミカは旅館の上客だから、やっぱり断れないし……。  分かっていても、正直面白くない現実だ。 だから、どうにもこうにも不貞腐れた表情から抜けることができないでいたのだが……待ち合わせ時刻丁度に現れたミカの姿を見た途端、何故か笑みがこぼれてしまう自分がいた。 「僕、ラシック広すぎて、どこに何があるのか全然わからないのですよね~沙織さん、どこからみましょう?」 「う~ん、プレゼントだったら、地下1階か6階のどっちかかなぁって思うんです。6階は家具中心だから、地下で選んだ方が良いような気がしますけど……」 「そしたら、6階から見て、地下に行きましょうか」
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