第4話 皐月に香るは恋のストーム(2)

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五月の中旬、未華子が企画したフリーペーパーがいよいよ創刊した。第一号の表紙を飾ったのはミカの笑顔だった。 つい最近まで、すぐそばにあったこの笑顔がなんだか随分昔のことのように思える。近所のコンビニで冊子を手にすると、あまりに懐かしい思い出を振り返るように、ミカの特集を眺めていた。  「名古屋で働く外国人男子」とタイトル付された巻頭企画では、ミカ以外に十人程の外国人を紹介していたが、編集ページのほとんどはミカの事で埋め尽くされていた。 大学の紹介も事細かくしてあり、広報の人たちが喜んでいたと言っていたが、確かにそうだろうと言いたくなるほど、ミカだけでなく大学そのものに興味を持つような仕上がりになっていた。
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