第五話 久方ぶりの恋愛はJUNEで紫陽花な味がする(1)

10/27
前へ
/27ページ
次へ
結局私は、ミカが帰ってきそうな時間を見計らい、スーパーに買い物に行った。もちろん、服装は会社帰りが演出できそうなものを選んだ。 なんで、彼氏と会うのに、こんな面倒臭い偶然の演出を自分でしているのかとも思ったが、メールをする勇気もないし、それに、実は働いていないってことがバレてしまったら、ミカはなんと思うだろうか……。  こんな状況が付き合っていると言えるのか定かではなかったが、私は突然やってきた「付き合う」という設定によって、極端に悩みが増えていったように思う。  普段より、ゆっくりスーパーで買い物をしていたが、ミカとは遭遇しなかった。荷物を抱えながら歩く帰り道、無性に自分のことが憐れに思えてきた。 私、こんな感じで、ミカと上手くやっていけるのかしら……。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

55人が本棚に入れています
本棚に追加