第五話 久方ぶりの恋愛はJUNEで紫陽花な味がする(1)

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「僕と結婚を前提に付き合ってください」  その言葉はあまりに唐突過ぎて、嬉しいを通り越して完全に現実味を宿していないもののように映った。  それよりもあまりにも色んなことが同時に起こってしまって、ことの整理をどうしていいのかわからないのだけど……。 「やっぱり僕じゃダメですよね……」  そんな諦めたような言葉を聞いた瞬間から、この現実を逃してはいけないとスイッチめいたものが入っていった。 「いや……そうじゃなくて……そうじゃなくて、嬉しいです。ただ、びっくりしてるだけで……」 「あの、すぐに返事してとは言わないので、僕のことを一人の男性としてみてほしいのです」 「は……い……」 私の言葉を確認すると、ミカは「それじゃ」と、一歩後ずさりながら、「予約の日を決めたら、すぐに連絡しますから」と言い、まだ、伝えたいことがあると思ってる私を置いてけぼりに、帰る方向に足を向けようとした。
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