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(短歌?……『QUEEN』?)
確かこれはどこかで見たことがある。ということは何かしらの有名な短歌であるのは間違いない。
百人一首でないことはわかったが、どこに含まれているものかまではっきりと記憶していなかったため、起動しているパソコンで訳を調べれば、伊勢物語に出てくる明らかに恋の歌を歌ったもので。
あなたが来てくれたのかしら。私が会いに行ったのかしら?
まるでわからないの。
夢だったのか、現実にあったことなのか、寝ていたのか、起きていたのかさえも・・・
「…気味が悪い」
吐き捨てる言葉と一緒にメールをゴミ箱へ移そうとするが、それより前に突然右手の自由が利かなくなる。
「ちょっ」
「どれどれ?もしかしてデートのお誘いメール?」
「ちょっと!蕨 守道!!ふざけるのも……」
私の声に目ざとく反応した隣のキノコ頭が私の右手を抑えながら、左手でガードする手の隙間から画面を覗き込んだと思うと、突然息を詰まらせ体を強張らせる。
「く、QUEEN!?」
(…?)
最初の文字の方がインパクトが強かったせいで気にしていなかったが、確かにメールの1番下には『QUEEN』と書かれた文字が残されている。
そのまんまの意味で捉えるなら“女王”だが、生憎日本(ヒノモト)は王族制ではない。そして他国の王族と関わりがある国際的な事案は抱えていない。
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