『CALLING』

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多数の視線がある一点に注がれている。 多くの視線を集める先は円形になっており、そこにはぽつんとテーブルと2脚の椅子が置かれている。 椅子に座っているどちらもが大きめのフードに体格を含めた全てが覆われており、さらにそれぞれが仮面を被っているため表情はおろか、男性か女性か、はたまた人かどうかも判断することは出来ない。 1人は真っ白なフードに狐の仮面、もう1人は真っ黒なフードに鴉の仮面を被っており、一方は狐の嫁入りを、もう一方が中世ヨーロッパで恐れられたペスト医師を髣髴させるような出で立ちであったが、1つのモニターを挟んで互いに言葉を交わしている様子はない。 互いにつけている手袋が体を覆うローブの隙間からわずかに見えたかと思えば、手袋の指先で示された数の分だけ何かが減っていく。 『ぎゃああああっ!!』 その都度モニターに映っている人間の断末魔が大きくなったが、モニターが真っ赤になり視界が狭くなっている状態ではどう変化していっているのかはっきりとわからない。 「……」 『ああああああああああっっ!!!』 どれ位経っただろうか、モニターから聞こえる声がぴたりと止む。それを黙って見ていたペストマスクの人物が椅子から立ち上がり大きく舌打ちすると、相反するように白いフードの狐面の持ち主がゆったりと座っていた椅子に深く座り直す。 その2つの様子を見ていた観衆から一斉に歓声が沸き上がる。 『白…“QUEEN側”の勝ちです』 抑揚のない声が聞こえ、歓声がより一層大きく沸き上がったが、座っている狐面も、いらいらとその場を早々に立ち去ったペストマスクも、最後まで言葉を交わすことはなかった。 『それでは来月は“QUEENのターン”となります』
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