1日目

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こちらがせめて世間話でもと声をかけても軽く返され、こちらが恥ずかしさから思ってもないことを言って喧嘩になるスタイルは学校時代から1mmも距離感が縮まらず変わっていない。 そのくせこちらのピンチや手が借りたいところには必ずと言っていい程駆けつけて来るし、お節介も誰かだけに焼くのではなく全体に焼いているところも懐の広さを見せつけられている気がしてかなり凹む。 いやいや違う、ムカつく。ムカつくだ。 世話好きで綺麗好き、困ったときには颯爽と駆けつける奴についた異名が『650期のオカン』『大護かーさん』だった。 私達650期生の中で私を知らないヤツはいないだろうが、あの男を知らないヤツもいないんじゃないだろうか。その位あの男は有名で、何故か人気者だった。 考えている内に眉間に力が入ってしまったのに気が付き、平静を装いながら眉間を伸ばしていると、自席のパソコンに1通のメールが届く。 (これって噂をすれば何とやらとか……) 乙女チックな考えを慌てて否定し、無理やり鼻で笑いながらも何故かクリックする指に力が入ってしまう。 咳払いをして誤魔化しながらクリックすれば、見たこともないアドレスからのメール。 (誰かしら) 携帯にたまにいたずらメールが入ってくることはあっても、仕事場でそのような経験をしたことはない。 ましているところがいるところだ。こんなところに迷惑メールを送ってこれる人物や組織があればぜひともお目にかかってみたいものだ。
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