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遥人はエレベータを降り、デイティング会場への順路に従って進んだ。
「ナオミ、教えてくれ。もし、相手の女性から拒否されたら不利な履歴として残るの?」
遥人は小声でナオミに尋ねた。
◇成婚に至らなくても不利にはならないわ。安心して。デイティングは年に2回。10年間で20回セッティングされるの。その間に自由恋愛で結婚してもいいのだし
「そうか。なら、いいや」
◇デイティングは1ヶ月の内に3回のデートが基本よ。2回目までは無条件でデートするの。最初は、この公園内の散策ね。次は当人同士で相談して自由にデート。相手の女性が拒否権を行使するのは3回目のデート以降よ
「そうなのか。でも、もしね……もし相手の女性が恐そうな人だったら」
◇あははは……何を言ってるの。デイティングに選ばれる人に、そんな人は居ないわよ
「うん。そうだろうけどね。でも、この前、誰かを殺してみたかったなんて女性が実際に居て、警察に捕まったからね」
◇んもう。気が小さいんだから……だから、そんな凶暴な性質の人はデイティング候補に選ばれないから大丈夫よ。あっ……そろそろ私は黙る時間だわ
「えっ? 一緒に聞いてくれないの?」
◇そういう決まりなの。12時間後に解除されるから、その時に感想を聞かせて。じゃね。頑張ってね
「あっ! ナオミ、待ってくれ!」
遥人が縋るように問いかけたが、ナオミは画面から姿を消していた。
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