4人が本棚に入れています
本棚に追加
今は昔となりましたが、竹取の翁というものがいました。
そんな事はさておき。
ここはカトバンブ王国の首都、キュート。
荘厳な白鳥宮殿で有名な、世界の文化の中心地である。
この国の伯爵タケトリスには、ひとりの令嬢がいた。
名をニトレア。
すらりと背が高く、サラサラのプラチナブロンドで、色白でなんとも美しく、しかも仕草が可愛らしい、知的で、宮廷ダンスも抜群に上手という、素晴らしいお嬢様であった。
ただしその正体は、ドSで超面食いでウルトラ自己中のクソ女だった。
「お嬢様、今日はピーチア公爵のご子息であられる、モモータス様が、お食事のお誘いです」
執事のトシオリーが、来客を告げにやってきた。
ニトレアは弦楽四重奏の生演奏と紅茶とスイーツを楽しんでいた。
「あら嬉しい。
モモータス様はどんなお方?」
「先のデモン島遠征では、総帥として軍を率い、見事制圧に成功なさいました」
「少女マンガに出てくる主役の男の子みたいなイケメンで、ドンってしそうな?」
「いえ、どちらかというと少年マンガの方で、ドカバキというところしょうか」
「今日は体調が優れないから、また誘ってと。
それから、さりげなく耳に入れて欲しいのが、ルビ砂漠の砂漠ウサギを一度見てみたいと」
数日後モモータスは、ルビ砂漠へ旅立った。
そして旅から帰ってくることはなかった。
最初のコメントを投稿しよう!