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「モモータス?
誰だっけ?」
執事のトシオリーが持ってきた知らせに、ニトレアはきょとんとした顔だ。
「先日ニトレア様と食事をしたいとお越しになった、ピーチア公爵のご子息ですよ」
「へー」
「憶えてらっしゃいませんか」
「うん、憶えてない。
じぃ、ごめんね、テヘッ」
ちなみにルビ砂漠には、砂漠ウサギなんて、いねえ。
いやしねえ。
いるのはせいぜいラクダと毒蛇だ。
そんなニトレアが、ある春のうららかに晴れた昼下がり、自宅の屋敷からカワイイ系の白い馬車に乗って出掛けた。
執事のトシオリーも同行している。
この日はキュートの町外れで馬術大会が行われる。
ニトレアはそれを見物に行くのだ。
馬術が得意な貴族や王族、騎士たちが、自慢の腕前を披露したり、ポロをやったりする。
なお、ニトレアは馬術には砂粒ほどの興味もない。
「あの大会に出てくる選手たちって、けっこうイケメンが多いのよ。
そうじゃなければ馬がぴょんぴょん跳ねて棒を飛び越えるのを、なんでわざわざ見なきゃいけないのか、わからないわ。
意味不明よ、イミフイミフ」
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