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と思っていてもそんなそぶりは、トシオリー以外には全く見せない。
「今年はどんな技が見られるのか、ドキドキして、昨夜も寝られないぐらい楽しみでしたのよウフフフ」
『今年はどんなイケメンが見られるのか、ドキドキして、昨夜も寝られないぐらい楽しみでしたのよグフフフ』
会場に着くと、ウラシミール子爵が声を掛けてきた。
ひょろひょろっとしてやたら頬骨が出ていて、声はひっくり返っている。
そばかすが汚れた天の川のようにたくさんある。
「こぉれはこれは、ニトレア嬢、あなたもご観覧でしたか」
「ええーそうですのーウラシミール子爵閣下ぁー。
お久しゅうございますねーオホホホー」
ロボットのような棒読みで、口だけ笑っていて目が笑っていない。
というか、虫けらを見る目だ。
そこへ、大会優勝候補の筆頭であるヴェルサイユ伯爵が、馬術衣装で通りかかる。
ヴェルサイユは二三歳、将来カトバンブを率いるであろう由緒ある家柄で、その手腕も若くしてすでに評判が高い。
「あ、ヴェルサイユ様!」
ニトレアは即座に全身からキラキラオーラを放ち、ヴェルサイユのもとへ瞬間移動した。
その後ろでウラシミールはなぜかみずおちを押さえてうずくまっている。
そう、ヴェルサイユはイケメンである!
しかもちょっとクールで、なんやったら女子を壁際に追い詰めて「ドンっ」とかしそうな感じだ。
「あぁ、ニトレア殿」
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