カオハギの誕生

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周りを警戒しながら病院に入り、お父さんは僕を地下へ連れて行く。 施術室に入ると同時に、血生臭い鉄の匂いが鼻に入ってきた。 視線の先には3台のベッドがあり、1台のベッドの上に両手両足が切り取られた全裸の青年が寝転がっている。 「お父さん……また、人を殺したの?」 「あぁ……少し実験がしたかったからな。だが、アレはお前の3つ目の顔になる男だ……。今の顔よりも男前だ……良かったな。とにかく、すぐに手術を始めるぞ!上半身裸になってあのベッドに横になれ」 死体の横のベッドを指差しながらそう言って、ゴム手袋を装着するお父さん。 顔を変えられるのは構わない。 その方が警察に捕まるリスクが減るのなら喜んでやる。 もともとこの顔は死体から剥ぎ取った顔だ。 顔が変わっても、智樹はきっと僕の声や仕草で大貴だと気づいてくれる。 事故にあって整形したとでも適当な嘘を並べるしか無いとは思うが、智樹はきっと何があっても僕の味方で居てくれる。 ただ、次に智樹と会える日が、いつになるのかだけが気になった。 「お父さん、手術した一週間後には外に出れるよね?」 「いや、今回は死んでから半日以上経った死体の顔を使うからな。皮膚の神経を今の顔のように繋げるかどうかは解らん。少なくとも2カ月は包帯を巻いたままで居てもらう」
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