カオハギの誕生

「それは困るよ！毎週土曜日は智樹と会う約束してるんだ！あいつを一人になんてさせられない！」

僕はお父さんの服の袖を掴んで身体を揺する。

「ダメだ。包帯グルグル巻きで外に飛び出すつもりか？お前は２ヵ月間、ここに居てもらう。皮膚が完全に安定するまで半年以上は掛かる。２ヵ月でも早いくらいなんだ……。とりあえず、始めさせてもらうぞ」

お父さんはそう言うと同時にポケットに入れていた睡眠剤を僕の首筋に射ち込んだ。

その瞬間、目の前がグルグルと回り、僕は膝から崩れ落ちる。

天井と床が反転したように見える中、次第に視界は狭く暗くなっていく。

完全な暗闇が訪れると同時に、智樹の哀しい顔が脳裏に浮かんだ。

ーーーーこの日から、半年の月日が流れた。

2013年11月25日。

予想以上に長引いた僕の監禁は解かれた。