カオハギの誕生

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「お前な……笑いごとちゃうでホンマ。帰ってきた小太郎にお前誰やねんって顔で見られたら、責任とってくれよ?」 「犬はそんなにバカじゃないよ。嗅覚が発達してるからな……」 僕はそう言ってリビングに入り、テレビを点ける。 「あのニュース、お父さんはもうやってないって言ってたけど、本当か?」 「あぁ、俺も戻ってきてから一回も観てないから大丈夫やと思うで。まぁ、やってたとしても、画面に映る顔は既に存在せん顔やけどな。もう、俺寝るからな……」 そう言って西山は2階へ上がって行った。 僕は冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し、コップに注いでテレビの前に戻る。 ニュースのやっているチャンネルで固定し、リモコンを机の上に置いた。 『それでは次のニュースです』 女性キャスターがそう呟くと同時に、テロップが右から左に流れてくる。 【中高生自殺者過去最多】
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