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噴煙
個性派化学ロケットの
液体酸素タンクをかき回せ!
茫々では
白詰草の淡い香りが
丘を抜ける風と共に昇華する
画家なら
キャンバスの布地には なにも描かない
その奥底から湧き上がる選択肢
否、境地
そう境地!
フランネルのしたたかさ
暑い夜の抱き心地を
夢の中で追尾する
零コンマ1秒の弾丸と
発射残渣だ
(発射残渣だ)
セーヌ川の川面は
灰色のカーテンレールとなって
慕情 煙幕活劇の
連鎖から成り立つ朝霧の中を
幌付きの小舟から
柳眉な船影を垂れ流すだろう
噴煙
この度 打ち上げにあたって
化学合成された推力を
憤怒 宇宙へ注ぎ込むべし
セーヌ川の辺
ただコートが風に揺れ
佇む男 前屈みの不自然な影だ
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