疾走

参上！

鼓動が
つんつん　だんだん
降り積もる雪　塩の雪
しょっぱい涙と　くぐもった声と
ヘーゼルナッツのチョコが
舌の上で溶けたっけ　なーむー

裏路地の街灯も
凍えるか　聞こえるか
点滅してないで
おい　返事しろよ！

おれは
おれは
夕食に　卵かけご飯をかき込んで
おまけに　
だし巻き卵を二切れ食べて
腹の中は卵尽くし
大根下ろしも居座っていたんだぜ
今頃　十二指腸あたりだ

裸足の儘で
マントを引っさげて
ヒーロー気分の夜なのに
ああ
これはメチルアルコール？
飲めない方だっけ　これ

踏ん張れ肝臓
憎き　
アセトアルデヒドを分解せよ
そっちじゃない
勘違いするな
アセトアルデヒドだ
ドイツ人の名前じゃあない

とち狂った
メルカトル図法のせいで
面積が解らない
空間とか　平面とか
何かそこらへんのすべてが

平方根つけたって
無駄におしゃれした感じなのに
クリスマスカラーの
大通りには
カラスだって
止まってるはずだろう
皆　無視　無視　無視

おれは
とっくに光速を突破しているし
まずは
蓋が緑色のペットボトルの
グリーンティーにて
酔い醒ましするくらいさ
コンビニは嫌に明るい
一体何ルクスorルーメン
やっぱケルビン　そっちかい？

終電間近な駅前広場には
ピーコートの群　おそらく大学生

既製服の型紙が揺れて
捻れて
摘まんで
それから
ｱ---

もう一度
ｱ---

走れ！
奴らが追いかけてくる