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ある町の裏道。
其処には、一人の男が葉巻をふかしていた。
その姿を気配を消し、物陰から様子を窺っている者がいた。
『…彼が“死神”か。』
少年(?)は呟き、男の近くへと自分の気配や足音を消し一歩ずつ、着実に近づいていく。
『ふふっ。…“死神”と呼ばれるだけの力量があるのかな?
楽しませてね?』
男との距離はもう2mもない。
にも拘らず、彼の気配に気づいていない。
少年(?)は、いつの間にか握られたナイフを未だに気づいていない死神の左胸めがけて突き刺しす。
死神は悲鳴をあげること無く、息絶えたのだった。
死神と呼ばれた男を見下ろし、
『……“死神”だなんて、君が名乗っていたなんて間違っているよ。
ちっとも楽しめやしなかった』
フードで顔を隠され表情はわからないが、とても残念そうに言葉を吐いた。
そして、屍から目を反らすように夜空に浮かぶ月を見上げる。
『今夜は、紅い満月か…。
まるで、僕のようだね』
目深く被ったフードが風に揺れ、深紅の瞳に感情が読み取れない笑みが隙間から覗いたのだった…。
ザッ……!!
「見つけたぞ。…紅のペテン師」
“紅のペテン師”と呼ばれた少年(?)は、先程の笑みを浮かべたまま、其処に現れた6人の男達を見据える。
『やぁ。殺し屋君達。
…僕を楽しませに来てくれたのかな?
否、そんなことより、
早く、僕を殺してくれよ』
先程の笑みとうって変わり、悲しみを含んだ声音と微笑みを浮かべ、そう言い放ったのだった…。
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