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食い入るように、とお子は聖(さとる)を見つめ続ける。
つぶさに観察されている気がしたのか、聖(さとる)が苦笑した。
「他の目がある所へ行こう。研究室へ行くから、お家の方に連絡……」
「っ、しないで下さい!」
攫うような行為を正当化したい聖(さとる)に、とお子は強く反発する。
親への言い訳が纏まっていなかった。
「……分かった。君の学校の保健室で、手当てした事にしよう」
とお子が頷くと、聖(さとる)が再び、ホッと息を吐いた。
何故こんな子供の面倒を見ているのだろう、とでも言わんばかりの嘆息。
聖(さとる)は、人間の相手があまり得意ではなさそうだ。
考古学の研究者は、化石の相手ばかりを好むのかも知れない。
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