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タオルと撮影用に用意された衣装を持った松井が駐車場に降りてきた。
彼も一瞬驚いた表情を見せたが何も聞かず三上の指示通りに動くだけ。
「とりあえず着替えなさい。宿直室でシャワー浴びて」
そう言いながら三上は自分のハンカチを取りだしてヒロキの右手に手早く巻いた。
人目を避けるように業務用のエレベーターを使い普段は使わない非常階段から部屋に入る。
「これを渡しておくから、内線503に電話して。いいわね?」
携帯を渡しながら三上はそう念を押して部屋を出ていった。
ヒロキはさほど広くもない部屋を見渡した。
人の気配はない。
いや、さっきまでいたようだが三上の指示があったのか誰かがいた痕跡だけ残されていた。
働かない思考はただ言われたことを実行しろと命令する。
だから言われたようにシャワーを浴びて、服を着替える。
そして、携帯を手にした。
内線503
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