陸の養子話

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陸は役に立つ! この道である。 5歳の成犬はしつけられまいと、半ば無理と思っていたが、聴導犬として、生き残りをかける道が残されている。 思うに、動物がなつく一番の動機は餌だが、犬は、飼い主に誉められるという動機がある。これが犬が人に愛される理由である。猫が餌90%、名誉10%とすると、犬は餌50%、名誉50%で生きている気がする。 今、嫁は、酪にぞっこんだから、酪と嫁の間の連絡係が勤まるようにしつければ、活路が開ける。 我が家は、ドア、電話器(FAX)、ガス漏れ警報機、風呂の空焚き警報、すべてフラッシュ式である。彼女の携帯電話は、終始マナーモードである。ただひとつ、酪だけは、音声コミュニケーションしか方法はない。 酪に携帯メール打てとか、用事があればフラッシュを光らせろとしつけるのは、無理である。 残された手段は、陸を聴導犬にしつけて、酪が鳴いたら、陸が嫁を誘導することである。 酪のしもべに撤すれば、活路がある。 ただ心配なのは、躾が可能なら、中型犬で食事量も大型犬よりは少なく、丈夫で飼いやすい柴犬をしつけようと、聴導犬史100年のうちには、誰かが考えそうである。 聴導犬は、ゴールデンレトリバー、ラブラドール、セントバーナードが主流で柴の聴導犬って聞いたことがない。 柴はオツムが弱くて、訓練は無理と思われているのではないか。 それと、盲導犬・聴導犬・介助犬の訓練開始は、1歳からである。5歳から始めて間に合うのか。
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