陸の養子話

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犬は、誉められたい、この習性に期待するしかない。犬は、主人が喜ぶなら、おのが健康を害してまで、主人に気に入られようとする。くそ暑い服も着るし、油ぎった鰻も食う。それが主人のお気に召すなら。 結局、酪が鳴いたら、陸を連れて嫁のところへ行き、嫁を引っ張る、そのうち、陸だけでそれが出来たら、抱きしめて、頭を撫でてやる。 そして、里親志願者が現れるまでに、陸が頼りになると思わせたら、私の勝ち、そうならなかったら、私の負けである。 この方法を使うと、陸にとって、ボスは嫁と言うことになる。私は、二番手になる。 それで、家庭内序列の忠実な反映ではあるが、少しばかり癪である。
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