酪は転がる。いざる。

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酪の空腹アピールは、非常にわかりやすい。 皿の前まで、いざるか転がるかして到達し、うつ伏せに寝転がるようにして、皿の真ん前まで行く。 そして、前足を皿に添えて、吠える。 誰が見たって、餌寄越せ以外の解釈は出来ない。 いざる時は、前足の腕力だけで、軍隊の匍匐前進さながらに進む。 転がる時は、横に転がるのだが、問題は、狙いが狂う。また、後足に力がないから、仰向け→うつ伏せの体位変換の時、前足の腕力だけが頼りだから、しばしば、失敗する。うつ伏せになろうとして、なりきれず、元の仰向けに引き戻されることがある。 で、皿に餌が盛られると、うつ伏せのままで、つまり胃を圧迫したままで食べる。 水(または牛乳)の皿は、餌の隣にあるのだが、隣には、いざって移動する。人間用のシリアルを食ってくれるなら、シリアル牛乳ぶっかけ飯だけの一皿にするのも一法かと思ったりする。 乾燥タイプの餌は失敗だったかもしれぬ。缶詰めタイプの餌で、魚なら、乾燥タイプほどには、水分を採らなくてよい。 もちろん、乾燥タイプの餌を、牛乳ぶっかけ飯にするのも一法だが、今のところ、二皿に配膳している。 酪は、満腹して食べる終わると、残った餌を見つめて、前足で皿を押さえて、動かない。つまり、皿の傍らを離れない。 餌が残っているのだから、満腹は間違いないとして、次の空腹まで、皿を死守する姿勢を見せる。 ぼやぼやしてると、ありつけない環境で育ったのか、単に動けないから、食い物から離れたくないかは、わからない。 で、寝転がられると、軟膏が床につく。帽子がひしゃげる。 だが酪は、自分で、自分用家具のレイアウトを変える挙に出た。 口で皿を咥え、いざって、トイレの隣に皿を置いた。 二往復して、2つとも、トイレ横に移動し、皿の真ん前に陣取った。 酪は、全く歩けない訳ではないが、歩く以前に、立ち上がるだけに、努力を要し、立ち上がっても、三歩連続歩行したら上出来で、四歩目には、へたり込む。 そこからやり直しになる。 さすがにトイレは、寝そべったままは、出来ないらしく、立ち上がる。 で酪は、食事スペースと、排泄スペースを至近距離にしたのである。それだけで疲れたのか、眠ってしまった。
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