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酪が食事をする時、後ろ足は、真後ろに、まっすぐ伸びている。その状態で前足を立て、首だけはやや持ち上げて皿に顔を近づける。
普通の犬は、立って、首を下げて餌を食べる。
酪は、立てない訳ではない。ごく短時間なら立つ。すぐへたり込む。
トイレは、難行苦行であろう。一回排泄すると、はあはあ息を切らしている。
で、一瞬は立てるし、排泄なら一分程度は立てるのだから、立って食事をさせるのは論理的には簡単で、後ろ足を、ヒトが支えてやるか、車椅子を繋げばいいのである。
で、車椅子を試してみたら、やはり、酪は、立って食べる方が美味しく感じるのか、初めてしっぽを振った。
但し、ポリシーとして、食事以外は、車椅子を使わせない。
まだ、酪が一生歩けないと諦めた訳ではないから、歩きたい動機づけのために、あれは、食事介護の用具だと割り切ることにする。
いずれ、酪は、あの器具があれば、容易に移動出来ることに気づくだろう。気づけば、つけてくれとねだるだろう。
その時、その願いを黙殺するのは、相当つらいだろうと予想される。
結局は、酪も、少しは出せる力を出し、不足分はヒトが力を添えて、徐々にヒトの介助が減っていく、その力加減が大事だと、理屈ではわかるが、私はプロではない。どの程度が適切なのかは、わからない。
ただ、這いつくばって、胃を圧迫しながら食べたって、美味くはあるまいと察しはつくから、食事時間は、車椅子に繋ぐことにした。
食事量が増えた。
ドッグフード一皿を二回に分けて食べるのは変わらないが、牛乳は、飲み干した。
昨日は、渇きを癒やす最小限飲んだのだろう。今日は、味わって飲んだのだろうと察する。
皮膚は、まだ毛を見ないが、心なしか、むき出しの皮膚が、ややすべすべしてきたように感じる。
疥癬なんて、清潔にしていれば出ないはずである。沁みる箇所があるのか、場所によっては、身を避けて鳴く。
文字通り、腫れ物に触るような細心の注意がいる。
しかし、なんとか言う、もともと毛がない犬種があるが、皮膚むき出しの部分は、その裸犬のような感じになって来た。
もう、キモくはない。
血管が見えるので、キモく感じる人もあろうが、私はキモくはない。微妙なラインまではこぎ着けた。
何より、犬がしっぽを振る意味を知っているから、今日は、しっぽを振ってくれただけでも、ヨシとせねばなるまい。
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