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「警察には行きたくない?」  黙り込んでいると、真田さんがそう聞いてきて、 「……出来れば」  そう答えた私に、少し困ったような表情を向ける。 「そう」 「まだ、なにかされたわけじゃないですし」  視線を落として、指を組み替える。  今の状況で、あまり大事(おおごと)にしたくない。  何かあってからじゃ遅い。それは、わかっているけど。 「まぁ、まだ早いよな」 「……すみません」 「ううん。……じゃあ、どうしようかな」  真田さんは独り言のように付け加えて、空を仰ぐ。  困らせている。  わかっているのに、真田さんの提案に、はい、と頷くことは出来ない。  だけど、他に解決策も思い当たらない。
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