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真田さんに頼ることだって間違っているとわかっているのに、大丈夫です、その一言が言えない。
真田さんは気にしないで下さい。
自分でなんとかします。
そう言わなくちゃいけないのに、一人になりたくなくて、一人になるのが怖くて、全く無関係の真田さんの厚意に甘えている。
「手、震えてる」
足が止まっていた私に、真田さんが振り返っていた。
気付いていなかったけど、手は本当に震えていた。
「水野さんは、意外と困った子だね。
仕事のことだったら聞き分けいいのに、すごい強情」
茶化すような声で言った真田さんは、少しからかいを含んだ笑みを浮かべていた。
それは、久しぶりに見る、あの夜みたいな表情だった。
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