174人が本棚に入れています
本棚に追加
「……わかった」
その言葉に、安堵と絶望が同時に押し寄せた。
「その代わり、家に着いたらすぐ連絡して。何かあっても、すぐに」
「わかりました」
「……じゃあ、本当に気をつけて」
駅への道を歩く真田さんは、一度振り返ったけど、また私に背を向けた。
すぐ近くの角を曲がる寸前、もう一度振り返ってなにか言おうとしたけど、何も言わずに角を曲がった。
真田さんが見えなくなったその後すぐ、苛立ちの含まれたため息が落ちてきた。
「あいつしつこいね。苛々した。
……理沙、じゃあ、公園に入って」
男の指示通りに、震える足を公園へと向けた。
最初のコメントを投稿しよう！