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 昨日家に帰ってから、そのことが頭から離れなかった。  気を紛らわそうと点けたテレビは、そのニュースが流れていたから、すぐ消した。  “まさか”と“もしかしたら”が、交互に頭を巡る。  今日も家に帰るのが億劫で、残業することはないか、無意識のうちに探してしまう。 「水野さん、電話なってますよー」 「んー」  ちょうど波がきていたところで、波を止めたくなくて手探りで携帯を手繰り寄せる。  肩に挟んで、通話に切り替えた。 「はい、水野です」  折り返し待ちだった相手だろうと思って、表示を見ずに出た電話。  なのに、相手の応答がなくて、その何度もかかってくるいたずら電話に、眠気も手伝ってか無性にムカついた。
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