174人が本棚に入れています
本棚に追加
「水野さんっ!」
突如聞こえてきた声に、男の指の動きが止まった。
大きな舌打ちの後、体を押さえつけていた重みが消える。
「おい! ちょっと待て!」
「離せよ……!」
足元の向こうで、言い争っているような声が聞こえる。
激しく響く砂利の音と、何かにぶつかったような重い音。
この声は……真田さん?
あぁ、戻ってきてくれたんだ。
微かな安堵を覚える。
目の前に広がる夜空には、半月が浮かんでいる。
さっきのあれは、なんだったんだろう。
最初のコメントを投稿しよう!