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いい加減にして。
そう言おうと、口を開いた。
その時、かすかに音が入ってきた。
「……じゃないか」
聞こえた声に、まさか応答があるとは思ってなくて、油断していた心臓がぎゅっと縮まる。
「言ったじゃないか。どうしてわかってくれないんだよ」
淡々としているその声は、淡々としているのに敵意が滲み出ていて心臓を掴まれる。
早鐘を打つ心臓を服の上から押さえて、震える口を無理矢理開かせた。
「あなた……誰ですか?」
「昨日のあの男は誰なんだ」
「あの男って……」
「……待ってるって言ったのに。あの日だって……」
そこで通話が切れてしまって、状況が把握出来ないまま、通話終了の音が届く。
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