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……あぁ、そうかなるほど。私が負けたと思ったのはこれか。
私が終始無表情なのに対して、篠崎さんはずっと笑顔。…女として負けたっていうのが正しいな。
「……それじゃあまずは昨日任された企画の資料まとめ、手伝ってください」
「あっ眼鏡を取ってきますっ」
「そんなに慌てなくても大丈夫ですよ」
「きゃっ」
「……大丈夫ですか??」
「す、すいません……っ」
…ただちょっと、ドジなのが玉に瑕だけど。そこもまた、オトコゴコロとやらを擽るのだろう。
周りのこんな穏やかな空気、つい最近まではなかったから。
「あ、そういえば。麻子ー」
「……私の名前は麻香です、いい加減覚えてください。それで、なんの用ですか?」
「おぉおぉ冷たいお返事。そんなんじゃ男も逃げるぞ??」
余計なお世話だ。
なに、何なのこの上司は。いつものことながら、私に彼氏が居ないことを知ってるくせに。
「仕事、ですよねなんですか」
「……雑談くらい許せ。まぁとりあえず、ほれ」
「……なんですか、これ」
苛立ちながらも顔だけは無表情を保ったまま聞けば、紙を渡された。
……ごう、こん?
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