24 計略-2

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「いいから、頭をあげて。別に私は、この写真の件で君を責めるために、ここへ招待したのではないのでね」 ――え? 違うの? てっきり、『課長の婚約の邪魔をするな』と、釘をさされるのだとばかり思っていたのに。 「ほら、顔を上げて」 楽しくて仕方がない、 そんな声の響きに顔を上げれば、私を見やる、鋭い眼差しに視線が捕まった。 柔和そうに微笑んでいるのに、どうしても、獲物を狙う蛇めいたこの目が、嫌だ。 好きになれない。 こんな所からは、さっさと、退散しよう。 もう、精神エネルギーを無駄に消費するだけの作り笑いは、製造中止。 目を見ると、睨まれたカエルみたいに固まってしまいそうだから、口元あたりに視線を固定して、ズバリと尋ねる。 「それでは、どんなご用件ですか?」
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