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課長の従兄だと名乗った、『谷田部凌』。
よく似た容姿から、血縁者なのは嘘ではないと思う。
課長の婚約に関して私に相談があると、そう言っていたけど……。
私の推理が間違ってなくて、
あの盗撮写真を撮らせたのが、彼だとしたら、
今、こうして私を呼び出した理由は、何?
その目的は、どこにあるの?
私から、何か聞き出したいのだろうか?
それとも。
――分からない。
大理石調の、艶やかな光を放つ、オフホワイトのタイル敷きの広い廊下を、悠然とした足取りで歩いていく後ろ姿を穴があくほど見つめても、その答えが分かるはずもなく。
ただ、今の時点で分かっているのは、
その目的を知ることは、利害で言うならたぶん、課長の『利』になるだろうということ。
なら、
ならば、私の取るべき行動は一つだ。
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