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それじゃ、
課長も、この人も、その一族っていうこと?
うそ……でしょう?
「……」
人は、本当に驚いた時には、声が出なくなるらしい。
確かに、
こんな高級ホテルのペントハウスに住んでいて、
リムジンなんかで乗り付けて、
お金持ちなんだろうとは、思っていたけど。
それは、例えば、親がどこぞの会社の社長とか、資産家とか、
あくまで、普通のお金持ちを想像していたのであって。
まさか、そんな桁外れなお金持ちだなんて、想像できるわけがない。
下手をしたら、世界のお金持ちランキングとかにも入っていたりするのかも。
――ああ、なんだか……。
驚きの後にこみ上げてきたのは、諦めにも似た寂しさ。
――なんだか、遠いな。
ますます、課長と自分の距離が、グーンと離れてしまった気がする。
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