24 計略-2

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お金で、人の価値が決まるとは思わない。 でも、やっぱり、住む世界が違いすぎると、そう、思ってしまう。 「……高橋さん?」 「え、あ……」 ――なんだっけ? 何か、質問されてた気がするけど。 「はい?」 小首を傾げて45度。 かなり、間抜けな顔をしていたに、違いない。 ククッっと、喉の奥を鳴らしたかと思えば、 彼はそのまま、こらえ切れないように、笑い出した。 「君は――実に、面白い女だな。仕事ができるキャリア・ウーマンなのかと思えば、まるで、十代の少女のような、素直な反応をしてみせる」 よほど、ドストライクで笑いのツボに入ったらしい。 言葉の端々が、笑いの余波で震えている。 ――しまった。 つい、素が出てしまった。
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