24 計略-2

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うちの会社の社長と課長との間に漂う微妙な空気を感じて、個人的な知り合いなのか尋ねたときだ、 あの時、課長は『妾腹の息子なんだ』と、真面目腐った表情で言った。 すぐに、冗談だと、ただの父親の知り合いだと、笑って否定していたけど。 ――この人の叔父さんの兄弟の話なら、課長とは年代が違うから、ぜんぜん関係ない話よね? 「この異母弟は、一族の恩恵を受けることなく、自分の才覚で事業を――とは言っても、従業員が数十名ほどの小さな町工場、いわゆる下町の鉄工所の経営者になったんだが、経営に行き詰ってね」 「……はあ」 『鉄工所』という、お馴染みのワードに親近感がわいたけど、いまいち話の流れに付いていけず、小首を傾げる。 いったい、この話のどこに、私との関連性があるのだろう? さっぱり、分からない。
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