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「――銀行、ノンバンク、果ては性質の悪い悪徳金融にも手を出して、抜き差しならない状況に陥り、ついには、最後の手段を選択した」
『性質の悪い悪徳金融』
『最後の手段』
他人事ながら、
続々飛び出す、不穏極まりないワードの数々に、思わず眉根を寄せる。
坂道を転がり落ちる石ころのように、
不幸というものは、質量を増やしながら、加速していくものなのかもしれない。
「つまり、絶縁状態にあった、谷田部の本家、当主におさまっていた異母兄である総次郎に、援助を乞うたわけだ。――で、どうなったと思う?」
「……え?」
いきなり話を振られ、どぎまぎしてしまう。
異母弟、
それも、絶縁状態にある妾腹の弟からの、援助の依頼。
つまりは、借金の申し込み。
総次郎さんが、どういう性格の人なのかは分からないけど、普通に考えたら……。
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