24 計略-2

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「……」 断るだろうと思いながらも、なんとなく口には出せない。 「まあ、君が考えているように、当然、断られた。世の中、それほど甘くはないからな」 人の思考を読んだみたいに、ニヤリと人の悪い笑みを浮かべる彼は、ますます悪魔めいて見える。 「ここまでは、よくある不幸話だが、この続きはもっと不幸な話でね」 ――なんで、この人は、一応は義理の叔父に当たる人の不幸話を、こんなに楽しげにするのだろう? うすら寒さを覚えつつも、聞かないわけにはいかない。 「唯一、可能性が残されていた金策が失敗に終わった異母弟は、失意のうちに自家用車で家路につき、その途中大きな交通事故を起こして、死んだんだ。衝動的な自殺だったのか、過失による事故だったのか、いまだに判然とはしないがね」 「!?」 語られた内容のすさまじさに、さすがに、息を飲んだ。
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